的中
2015年2月27日田舎へ帰るジョンに、ルームメイトのトムが言った。「今まで黙っていたが、ボクには人の未来が見えるんだ。ジョン、気を悪くしないで聞いてくれ。キミのお父さんは3日後の朝、ジョギング中に倒れてそのまま死んでしまう。だから走るのを止めさせて、お父さんを救うんだ!」ジョンは半信半疑だったが、取り敢えず帰省した。父親は元気で、ジョギングもしていなかった。3日後も、普段通り出勤する父を見送り、安心したジョンは事の顛末を母親に話した。すると血相を変えて家を飛び出し、しばらくして帰宅した母親は、沈んだ様子で咳いた。「隣のご主人が今朝、ジョギング中に亡くなったわ……」
朝日衰退の兆候
2014年11月24日
私は一九五五年に日本長期信用銀行に入行、八○年代に取締役を務め、その後顧問となって、九八年に多額の不良債権を抱えて国有化されるのを見届けました。資産ニ十四兆円の長銀が最後はあっけなく破綻したように、多くの人が「絶対に大丈夫だ」と思っている企業も、一度ヒビが入ると、一気に崩壊へと突き進む。
今その危機が朝日新聞に迫っていると感じます。朝日衰退の兆候はニ十年ほど前からありました。第一段階として、広告の質が低下したノ販売部数の減少を広告収入で補うために、それまで断ってきた不動産業者などの広告も掲載するようになりました。第ニ段階は○八年から始まった。
社主家の村山美知子氏が持っていた朝日新聞社の株式をテレビ朝日に売却し、○九年には朝日新聞社社員持株会や朝日放送に譲渡した。要は社主家からも見放されたのです。第三段階は一○年。人件費削減のために早期退職者制度を実施すると、その破格の条件に、幹部も含む社員の応募が殺到した。つまりべテラン記者たちが朝日に見切りをつけたわけです。第四段階は、べテラン記者の抜けた穴を補城するはずの優秀な学生が入ってこなくなったことです。
象徴的なのが、今春の「朝日新卒社員に東大卒ゼロ」というニュースでしょう。他にも押し紙問題や不動産事業への依存度の高さなど考慮すべき要因がある。そんな中で起きた一連の問題は、朝日が破綻へ向けた第五段階に入ったことを示しています。
今その危機が朝日新聞に迫っていると感じます。朝日衰退の兆候はニ十年ほど前からありました。第一段階として、広告の質が低下したノ販売部数の減少を広告収入で補うために、それまで断ってきた不動産業者などの広告も掲載するようになりました。第ニ段階は○八年から始まった。
社主家の村山美知子氏が持っていた朝日新聞社の株式をテレビ朝日に売却し、○九年には朝日新聞社社員持株会や朝日放送に譲渡した。要は社主家からも見放されたのです。第三段階は一○年。人件費削減のために早期退職者制度を実施すると、その破格の条件に、幹部も含む社員の応募が殺到した。つまりべテラン記者たちが朝日に見切りをつけたわけです。第四段階は、べテラン記者の抜けた穴を補城するはずの優秀な学生が入ってこなくなったことです。
象徴的なのが、今春の「朝日新卒社員に東大卒ゼロ」というニュースでしょう。他にも押し紙問題や不動産事業への依存度の高さなど考慮すべき要因がある。そんな中で起きた一連の問題は、朝日が破綻へ向けた第五段階に入ったことを示しています。
志田の引っ越しが実現した
2014年10月20日テーブルに手料理を並べている徳美が斎に連絡しろと言うので、携帯でかけた。「今、おれがどこから電話してっか分かる?婦長のマンションっスよ」斎は明らかに当感している。「あなた、どうしてそんなことになっちゃったの?」「何だか急展開で、自分でもビックリしてるんスよ」横合いから徳美が手を伸ばしている。携帯を取り上げると、甘ったるい声で誘った。「ねえ、これから引っ越し祝いなのよ。あんた、すぐにこれない?」急に徳美の口調が変わる。「通夜だって?あんたの男が引っ越してきたんじゃないの。そんなものほっぽってこっちにきなさいよ」斎は今日は無理とか何とか言っているらしい。「遅くなってもいいよ。志田ちゃんって、ただけある。からきなさいあんたが惚れほんとうにいい男よ。あたしも気持が若返って、おまけに心丈夫だしね」斎はあれこれと言を左右にしてるようだった。「だって、あんなの男がここにいて、太い毛胆だして座ってんのよ」「はっははは」志田は笑い、徳美も志田の引っ越しが実現したことだけで高揚しており、「じゃ、今uは許したげる。明日は来るのよ」と電話を終えた。このマンシaンに引っ越してきたことで、これまで以上に斎と密接な関係になれると、志田は能天気に考えていた。
何しろ母親のマンションなのだし、川崎の連れ込みホテルなんか利用せずに愛を紡ぎ合えるはずだった。「あんたがいるだけで、このマンションがピカピカして見えるわよ」徳美は満足感とビールの酔いで気持よさげにとろんとしている。志田は徳美の後に廻って肩を採んでやった。「器用だねえ、あんた」指先でつぼを押さえる。「きつくないっスか、お母さん」「いい感じ。ああ、ああ、極楽だ」徳美は嘆息しては何度も極楽を繰り返し、志田は極楽と天国はどう違うのかと考えながら、柔らかく採みほぐしていた。「埴生さんも行きますか」西尾から言われたとき、斎は何のためらいもなく応じた。「ええ、御一緒します」 「やめといたほうがいいんじゃないか。病院と違って、警察の変死体はキビしいよ」 薦田が薄笑いの中に微妙に危惧の色を浮かべている。斎としては今のうちに葬儀に関するあらゆる経験を積んでおこうと、腹に決めていた。いずれ司会の仕事をするにしても現実の遺体に触れておくことは無駄ではなく、どんな遺体であろうと死者の尊厳は守られなければならないとする立場からも、尻込みしてはならないといっていた。
何しろ母親のマンションなのだし、川崎の連れ込みホテルなんか利用せずに愛を紡ぎ合えるはずだった。「あんたがいるだけで、このマンションがピカピカして見えるわよ」徳美は満足感とビールの酔いで気持よさげにとろんとしている。志田は徳美の後に廻って肩を採んでやった。「器用だねえ、あんた」指先でつぼを押さえる。「きつくないっスか、お母さん」「いい感じ。ああ、ああ、極楽だ」徳美は嘆息しては何度も極楽を繰り返し、志田は極楽と天国はどう違うのかと考えながら、柔らかく採みほぐしていた。「埴生さんも行きますか」西尾から言われたとき、斎は何のためらいもなく応じた。「ええ、御一緒します」 「やめといたほうがいいんじゃないか。病院と違って、警察の変死体はキビしいよ」 薦田が薄笑いの中に微妙に危惧の色を浮かべている。斎としては今のうちに葬儀に関するあらゆる経験を積んでおこうと、腹に決めていた。いずれ司会の仕事をするにしても現実の遺体に触れておくことは無駄ではなく、どんな遺体であろうと死者の尊厳は守られなければならないとする立場からも、尻込みしてはならないといっていた。
ラジオで懐かしい曲が聴けるんですね
2014年10月14日その理由が、相手に愛想がつきたのか。そうじゃなきゃ、他に好きな人ができたのか。どっちにしても、もう別れたんだから、八年間のことはあなたの胸の中だけにしまっておけばいいんじゃないか。ただあなたが言うように、「何でこんな男に長いこと時間とお金をかけたんだ」という考え方は、わしはまったく理解できんね。時間と金とあなたは言うが、それは早い話が生きることを数で換算しとるということでしょう。その考えは、損得勘定と同じじゃないの。まあ男と女のつき合いを、どう考えるかはそれぞれ勝手だろうが、時間とか金とか、消えてなくなるものを価値判断の対象にするってのは、自分のことだけを考えてたってことだろうナ。今後、何人と付き合っても、そりゃ同じことだって。人と人が出逢うってことは、そんな単純なことじゃないから。パカモン。「夜がつまらないから、ラジオを買ったんだ。「ラジオはいいね」駅裏の赤ちょうちん。カウンターの隅に座ったSさんが微笑みなが言った。「FMや中波はもちろム短波も聡けるラジオなんだ」クイッとロックを飲むと、Sさんは楽しそうに話しはじめた。
「枕元に置しもて毎晩、音楽や深夜番組を聴いているんだ。懐かし曲が掛かったり、聴取者のほのぼのとした便りが流れたり、ラジオはホッとするね。そう言えば子供の頃からラジオが好きだったな。かなり大きくなるまで実家にはテレビが無かったから、ラジオで育ったようなものかな。子供向けの冒険ラジオドラマには手に汗握ったし、爺ちやんとはよく落語や相撲中継なんかを楽しんだなあ。高校生になると、深夜放送にはまった。好きなバソナリティーが居てね、翌日のことも考えず、夢中になってたなあ。それと、受験のためのラジオ講座も時々は聴いたっけ。甲高い声の物理の先生や、すぐに寮歌を歌い出す数学の先生なんかが好きだったなあ」。カランと涼い音をさせて、またロックをつくり、Sさんはゆっくりとつづける。「この前、ふと海外の短波放送を聴いてみょうと思ったんだ。窓辺に長いアンテナを張り巡らせてラジオに繋ぎ、そっと選局ダイヤルを回していくと...入って来たよ、中国語や英語やハングルが。そのうち、日本語も飛ぴ込んで来た、海外の日本向け放送がね。ちょっと違う世界に踏み込んだような気がして、なんだかクワクしたなあ」。
「枕元に置しもて毎晩、音楽や深夜番組を聴いているんだ。懐かし曲が掛かったり、聴取者のほのぼのとした便りが流れたり、ラジオはホッとするね。そう言えば子供の頃からラジオが好きだったな。かなり大きくなるまで実家にはテレビが無かったから、ラジオで育ったようなものかな。子供向けの冒険ラジオドラマには手に汗握ったし、爺ちやんとはよく落語や相撲中継なんかを楽しんだなあ。高校生になると、深夜放送にはまった。好きなバソナリティーが居てね、翌日のことも考えず、夢中になってたなあ。それと、受験のためのラジオ講座も時々は聴いたっけ。甲高い声の物理の先生や、すぐに寮歌を歌い出す数学の先生なんかが好きだったなあ」。カランと涼い音をさせて、またロックをつくり、Sさんはゆっくりとつづける。「この前、ふと海外の短波放送を聴いてみょうと思ったんだ。窓辺に長いアンテナを張り巡らせてラジオに繋ぎ、そっと選局ダイヤルを回していくと...入って来たよ、中国語や英語やハングルが。そのうち、日本語も飛ぴ込んで来た、海外の日本向け放送がね。ちょっと違う世界に踏み込んだような気がして、なんだかクワクしたなあ」。